●●● Q & A ●●●

Q1:訪問着と付け下げの違いはなんですか?

A:付け下げは訪問着の略式のものになります。訪問着は仮仕立てをしたきものに下絵を描くため、体を巻くように柄が続く絵羽模様です。付け下げは、縫い目で模様をはずし、胸、肩、上前、後ろ身頃、袖の各所に柄をつけ、着たときに全部の柄が上向きになるように付け下げたのが、その名の由来です。着て行ける場所は結婚式、パーティ、年賀、茶会など両者変わりはありませんが、訪問着のほうが華やかな場所に向いてます。


Q2:京友禅、加賀友禅、江戸友禅の特徴は?

A:日本画のように優美な友禅染。現在でも伝統の受け継がれている京都、金沢、東京ですが、それぞれの手法には違いがあります。京友禅は大ぶりな模様が多く、絞りや刺繍、金銀箔づかい、紅挿しなど独特の表現が華麗なイメージです。加賀友禅は自然の草花や鳥などを写実的に表し、墨で描く木の葉の「虫喰い」模様や、加賀五彩(えんじ・藍・黄土・緑・紫)を用いた色挿しなど、落ち着いて繊細なイメージです。江戸友禅は藍と白を基調とするさっぱりした色づかいで、磯の松、釣船、網干しなど東京湾沿いの風景を中心にした模様が特徴です。


Q3:お嫁入りに揃えるきものの種類は?

A:結婚を機にきものを揃える場合、慶弔の式服をまずおすすめします。今は昔のようにたくさんの枚数を揃えるというかたが少なくなりました。最低限度必要なものをということでしたら、ミセスの第一礼儀である黒留袖にプラスして色留袖または訪問着、羽織またはコート、古典模様の袋帯、喪服一式があれば十分です。余裕があるようでしたら、留袖と訪問着で違う帯を、さらに付け下げや小紋・袖など、より気軽なきものをプラスしてはいかかでしょうか。


Q4:お出かけ先で、着くずれをなおす方法は?

A:着くずれしやすい主なポイントは、胸もと、裾、お太鼓結びなど。胸もとのゆるみの場合、上前は右脇の帯の下から衿先を引っ張り、下前は左の身八つ口から手を入れて衿を引っ張り紐の中に処理します。裾が下がってしまった場合、おはしょりの下の紐を持ってきものを引き上げ、その分たるみのでたおはしょりをきれいに整えます。お太鼓の大きさを整える場合、全体を押さえながら、中の輪になった部分を引っ張ります。たれが跳ねてしまうことも多いのでときどきチェックが必要です。


Q5:季節で着分けるきものの決まり事は?

A:春夏秋冬、季節の移り変わりに応じて気持ちよく過ごすための工夫が、仕立てや素材などでこまやかになされているのも、きものの魅力の一つです。仕立ては基本的には袷仕立て(胴裏、裾回しの裏あり)と単衣仕立て(裏なし)に分けられます。袷の季節は10月から翌4月、5月頃まで。単衣は6月と9月に。7、8月の盛夏は薄物になります。素材ですが、春は綸子や繻子、しぼの立っていない縮緬が好まれます。初夏と初秋は絽縮緬、絽紬、紬縮緬、絹紅梅、上代絽、紗袷など。盛夏は麻、絽、紗、麻縮、綿紅梅、コーマ地など。春冬は真綿紬、紬、古代縮緬など、どっしりと重量感のある素材を。色や模様など、さまざまな組み合わせで季節を堪能することができます。


Q6:茶席にふさわしいきものは?

A:茶席のきものには、お作法ほど明確な決まりはありますが、侘び・寂びの境地に身を置く場ですから、落ち着いて控えめなきものが似合います。正式なお茶会でしたら、紋(五つまたは三つ)付きの色無地や色留袖、訪問着など。気軽なお茶会でしたら、一つ紋付きの色無地や訪問着、付け下げなど。お稽古には小紋や合繊など。お茶会の格に合わせて着分けます。いずれも華やかで派手なきものは控え、季節感のある装いを心がけます。


Q7:大島紬と結城紬の違いを教えてください。

A:大島紬は鹿児島県でできる本絹糸による絹織物、結城紬は茨城県結城地方産で、真綿(綿状にのばしたくず繭)から引き出した紬糸を用いた絹織物の一種です。大島紬はしゃっきりとした風合い、車輪梅と泥土を用いて染める黒褐色が特徴で、この泥大島は奄美地方だけで産出されます。鹿児島市内では、色大島、白大島が作られます。結城紬は居坐機で織られ、ほっこり温かみのある風合いが特徴。どちらも普段着ですが、光沢のある大島紬のほうが、ちょっとしたお出かけなど、よそゆきのシーンに向いてます。